Stanford continuing study programの英会話クラス、DAY1の紹介に引き続きDAY2の紹介です。
DAY2のテーマは、description(説明)からnarrative(物語)への移行でした。DAY1でdescpritionにおいても説明対象の事柄と自分との関わり(connection)が大事、という話がありましたが、このconnectionをさらに押し進めた会話の状況の練習でした。
具体的には以下の練習を行いました。
- (ウォームアップとして)、自分の母国の食べ物(相手が知らない食べ物)について2分間説明を行う。2人一組でお互いに説明する。
- ペアを変えて、同じ食べ物についての説明を今度は1分45秒間行う。
これは、ウォームアップとして、あくまでもdescrptionの練習として行いました。detailを説明して相手に理解してもらう事が大事、と言ったポイントです。
また、コーチングの技法として興味深いのは、同じトピック(相手が知らない食べ物)似ついての説明を相手を変えて2回繰り返した事です。1回目の説明では、当然の事ながらなかなか上手く説明できない点が自分なりに反省点として出てきます。同じトピックを繰り返すことで、自分なりの反省点を修正することができます。同じ内容を繰り返し行う中で、自分の中でフィードバックループを働かせる、という手法はワークショップやコーチングの技法として有効であることを実感しました。
ちょっと脱線しましたが、クラス内の練習の続きです。
- 人物の描写1 - 複数の人の顔の写真の中から一人を選び、その人物について説明を行う。2,3人のグループで行うが、説明者は誰の説明をしているかは言わない。聞き手がどの人について説明をしているかをあてる。
- 人物の描写2 - 自分の上司についての説明を2分間行う。当然の事ながら、聞き手は説明対象に人を知らないことが前提。
「ある人物についての説明」という一見同じような課題においても、「写真に写っている人」と、「写真が無く、相手が知らない人」についての説明では説明内容が全く異なってきます。写真に写っている人の説明では、ビジュアル上どのような特徴を持っているのか(顔の形、表情、眼鏡の有無などなど)が重要であるのに対し、「自分の上司など相手が知らない人」の説明においては、ビジュアル上の説明よりも、仕事のスタイル、キャラクター、自分と上司に関わるエピソード、などよりconnectionに関連した話題について話をする必要があります。より物語を語る必要がある、という言い方もできますね。
人物の説明という題材を基に、detailからconnectionに説明内容を変化させていく、という演習方法は、とてもわかりやすい印象があります(もっとも、すぐにそれに応えて物語を語れるようになる訳ではないのがつらいところですが、、)。
ここまで準備した上で、最後に本格的なnarrativeの練習です。narrativeの練習として以下を行いました。
- 複数の漫画チックな絵の中から複数の絵をつなぎ合わせて、2分間の物語を作成して発表する。
- 初回の反省をふまえて、1分半でもう一度物語を作成して発表する。
これはかなり難易度が高い練習でした。だいたい、母国語でもなかなか物語を作るのは容易ではありません。
愚痴はさておき、この練習の良いところは会話の構造が、いわゆる段落から物語に変化していくことです。英語で段落というと、先頭にトピックセンテンス(メインの主張を述べた文)があり、中段にメインメッセージをサポートする具体例を並べ、最後に結語として、もう一度主張を述べる、という形が一般的です。しかし、物語には、このような構造はなく、前段、中段、後段といった大まかなくくりしか出てきません。このような構造でどういった物語を述べるのか、ということを考えるのは物語を話す上で良い訓練になりそうです。ちなみに、私は日本語での起承転結、もしくは話のオチをどのように作るのか、ということを意識してみました。
講師のKenによると文法構造上においても、物語を語る上では特徴があるそうです。曰く、会話で過去の経験談を語る時は過去形を使うのが普通となりそうですが、ネイティブは現在形も混ぜて話をするとのこと。物語のスタートにおいては過去形を使うが、中段の盛り上がる部分においては、現在形を使って話をし、最後のまとめで過去形に戻る、ということを行うそうです。現在形にすることで、今目の前でその出来事が起きているように話をし、聞き手を自分の話に引き込むようにするそうです。意識して行う、というよりは自然にそうなるそうです。
「過去形->現在形->過去形の使い分けが難しいのだけど?」という生徒からの質問に対しては、Kenは「無理に使うな。ネイティブが使っている様子を繰り返し見聞きしていると自然に出来るようになるよ」と応えていました。変に文法として覚えても使いこなせないので、ネイティブの話す内容を聞きながら、そのセンスを磨いていくのがベストだそうです。 ごもっとも、と思う一方で、学習者の立場からすると何年もネイティブと会話しながらも、そんなセンスが磨かれないからクラスを受講している訳ですから、もう少し手がかりが欲しいものですよね。ま、このような時制の変化が会話の中にある、ということを理解するだけでも大進歩になるとは思いますが。
以上、まとめるとdetailを説明する練習に始まり、徐々に自分の個人的な体験と絡めて説明したり、全くの物語を語る、という練習を行ったDAY2でした。 これまでのところ、コース内容の構造がよく出来ているので、英語の授業としても、「人への教え方、コーチングの仕方」の授業としても大変参考になっています。こんな授業が簡単に受けられるのは有り難いことです。
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